伏見稲荷大社講務本庁は、全国各地の稲荷信仰者により組織された団体であります。長い歴史と伝統を有する稲荷信仰は、社会の進歩発展に伴い元来の農耕信仰に、殖産興業の神として、幅広い信仰も加わるようになって参りました。 稲荷信仰者による講中発生の源流は、江戸時代の「神事奉賛の講中」、「奉納物を取纏める講中」や「同業者による講中」の結成等であります。これは、やがて明治時代に及び、講社の全国組織「瑞穂搆社」へと発展し、稲荷神社の奉賛団体として大きく寄与したのであります。そして、昭和2年には瑞穂搆社を改め、「官幣大社稲荷神社付属稲荷講社」として飛躍発展するのであります。しかし、戦時中にあって講社運営は、大変苦難の時代を迎えたのでありましたが、それを乗り越え、昭和16年には財団法人、即ち民法第34条による公益法人としてその機能を備え、使命を果して来たのであります。 戦後にあってはいち早く教化活動に乗り出し、地方組織の拡充に努めたのであります。戦後社会の復興、そして発展は著しく、宗教活動も自由で活発になりました。我が講社も、社会の動向や人心の求めるものを見極め、昭和38年に至り、付属講社としての歴史に終止符を打ち、新たに「財団法人伏見稲荷大社講務本庁」に改組し、時勢即応の施策を強力に押し進めることになりました。 以降、神徳の発揚と講員に対する教化活動を推進し、講社の拡張と講務の拡充に努めてまいりました。 昨今は、公益法人に対する社会の目も厳しいものがあります。本庁に於きましても主務官庁の通達による「公益法人の設立許可及び指導監督基準」に準拠し、本庁の設立趣旨に則り、大社の隆昌に寄与し、かつ広く社会に向って、公益法人本来の事業展開を推し進めている処であります。 即ち、本庁設立の目的は、伏見稲荷大社のご祭神のご神徳を宣揚し、敬神尊祖の美風を涵養して、大社の隆昌を図ることにあります。この目的達成のために、本庁の行う行事として、 ◎ 大社の施設の拡充強化に関する助成 ◎ 神徳宣揚に関する事業 ◎ 稲荷信仰の学術的研究並びに普及 ◎ 稲荷信仰に基づく慈善事業の展開 ◎ 講員大祭斎行並びに講員に関する事業 等があげられます。これらの各事業の実施に関して横断的な必須要件は、稲荷大神のご神徳を常々あがめている崇教者が、本庁の設立目的に賛同して、ふるって講員に加入されることにあります。 ◎大社の施設の拡充強化に関する助成 講員は日々そのご加護に報恩の誠を捧げるのは当然のこと、その一端に、本庁は全講員の謝意を一括し、大社へ供進金を奉奠しております。その他大社奉賛会への協賛方を講員に勧奨、あるいは参集殿や御膳谷奉拝所の利用等を呼びかけています。 ◎講員大祭斎行並びに講員に関する事業 - 講員に対する各種待遇の実施
新たに加入した講員に対しては、加入奉告祭を行い、撤下神饌や一代守を授与し、講員門標および徽章を交付します。この際、特別講員以上の講員に対しては、本庁発行の神徳宣揚叢書を授与しております。毎年おこなう講員大祭には全講員に参列方を案内して、講員種別によるそれぞれの待遇品を授与し、年末には全講員に対して、新年奉斎のための講員神札を授与しております。また、本庁の機関紙「大いなり」を送付いたします。 - 講員大祭の斎行
毎年10月体育の日直近の土・日曜の2日間に亘って、講員の安全と生業の繁栄を祈願する講員大祭を行い、この祭儀に際し、本庁のために功労のあった講員および模範となる善行のあった講員を表彰しています。 - 日供の奉献
毎朝夕の2回大社の朝御饌祭・夕御饌祭に併せて講員の安全と生業繁栄祈願を行って御日供を奉献しております。 - 図書、印刷物の出版
定期的には全講員を対象に、機関紙「大いなり」を年4回発行しています。これには本社の祭事の案内、支部・扱所をはじめとする本庁内外の動静紹介、講員の貴重な信仰体験記、そして講員の教養昂揚に資する記事等々を掲載しています。また、講員が家庭祭祀にあって、必要とする講員神拝詞を作成、祝詞の指導とその普及に努めています。
◎神徳宣揚に関する事業 - 幣饌使の派遣
支部・扱所の大祭には、要請によって、本庁より幣饌使を派遣しております。幣饌使は本庁の幣饌料を供進するとともに大祭に奉仕し、神徳宣揚の講話を行い、講員と懇談をして、支部・扱所の発展に努めます。 - 指導者講習会の開催
稲荷信仰の指導者及び併設教会の教師の養成並びに研修を目的に普通指導者講習会を毎年開催し、受講者には修了証書を授与するとともに本庁規程に基づく「教師任用資格」の無試験検定資格を付与し、本庁の定める条件が整ったものには、これが、「資格」を授与しています。  | | 講習会(祭式) | - 巡回宣揚班の活動
本庁の目的を達成するために行う重要な事業の一つとして、宣揚班を編成し、支部・扱所を主軸に全国各地を巡回し、祭典・講話・映画・座談会等を行ない、講務の拡張を図っております。 支部及び扱所 本庁の講員100名以上を数える団体は、その団体の申請により支部を設立することができます。本庁が支部の設立を承認したときは、その旨を大社の大前に奉告し、支部看板を交付するとともに、本庁の支部台帳にこれを登録します。支部は、本庁の委嘱する事務の全てを処理し、特に講員大祭またはその他の祭典や行事に支部所属講員を引率して大社に参拝する他に、講員の加入、講費の集纏、神璽の拝戴などの指導を行うことになっています。また講員100名以下の団体には、扱所が設けられ、支部に準じて処遇されるとともに、業務をおこないます。 支部・扱所は必要に応じて本庁所属の教会を併設することができます。この教会は、稲荷大神を奉斎する神殿など公衆礼拝の施設を備えて祭祀行事を行い、稲荷大神のご神徳をひろめ、信者その他を教化育成することを主な目的としています。したがって教会には、神明に奉仕して宗教活動に従うことを任務とする教師をおくことになっています。教師は本庁で定める教師任用資格を有しなければなりません。 支部・扱所の運営の指導 支部・扱所の運営に関しては、「支部・扱所指導要項」を発行して指導を行い、その拡張に助成しておりますが、特に婦人部・青年部の結成を計るよう強力に指導しております | ◎ 稲荷信仰の学術的研究並びに普及 本庁機関紙「大いなり」は年四回の発行、これには研究論文、講員・支部・扱所に対する神徳の宣揚・信仰の指導、講員の信仰体験談、本庁内外の動静や年中祭事案内等も含めて編集されています。加えて講演会の計画や、講習会の実施、この講習会は通常のものは毎年、短期のものは隔年に実施しています。これらは全て、支部・扱所の教会での祭典指導は勿論講員の資質教養を高めるために資するものです。 ◎ 稲荷信仰に基づく慈善事業の展開 講員大祭に全国各地の支部扱所に献米を奨めています。祭典の後これを京都府内の社会福祉施設30数ヶ所へ慰問を兼ねて贈与しています。また、京都市民生局の協力を得て社会福祉施設の運営に資すため、助成金を毎年数ヶ所宛送り続けています。 |